姿勢と呼吸の関係性

呼吸をする上で、人体には呼吸筋呼吸補助筋と言うものが存在します。

呼吸筋・呼吸補助筋は、頚部周囲肋骨に存在し、呼吸時に肋骨にある筋肉とともに動く横隔膜が存在します。

呼吸に対するリハビリ(呼吸療法)は、呼吸機能が低下した方に対して、呼吸のしやすさを改善し、生活の質(QOL)を向上させるための包括的な手技療法です。以下にその概要をまとめます。

▼整形外科での呼吸療法の目的と効果▼

⭕ 呼吸のしにくさ・浅い呼吸を軽減

呼吸筋・呼吸補助筋の動き胸郭の可動性を改善し、息苦しさを緩和。

⭕ 姿勢(猫背や反り腰)の改善

胸郭の動きを良くし、肋骨にある筋肉(肋間筋)をストレッチし、肋骨にある神経(肋間神経)の滑走性を促すことで、筋肉の緊張を取り良い姿勢を保てるようにしていく。

⭕ 運動耐容能・体力の向上

有酸素運動呼吸筋・呼吸補助筋トレーニングで筋力・体力向上を図り、サルコペニアやフレイルを予防。

▼姿勢と呼吸機能の関係▼

  • 猫背(胸椎後弯・頭部前方突出)や巻き肩(肩関節前方変移・上腕骨内旋)は肋骨を圧迫し胸郭の可動域が制限されることにより、呼吸効率を低下させ浅い呼吸になる。
  • 肋骨の動き(バケツハンドル運動)は姿勢によって変化するため、肺活量にも影響する。
  • 横隔膜の柔軟性(上下運動)は腹部圧や日常的な姿勢によって左右される。

▼姿勢に対する呼吸療法のアプローチ▼

▶️ドローイン:腹式呼吸・口すぼめ呼吸、呼吸法の再学習、呼吸効率の改善。

▶️呼吸筋ストレッチ:自動・他動運動により、筋肉の柔軟性を上げ、血流を促進。

▶️神経の滑走性向上:呼吸介助により、神経の滑走性を促進。

▶️スクイージング:胸郭に手を添えて肋骨の動きに合わせ呼吸補助。

▶️呼吸筋トレーニング:頸部周囲や肋骨の呼吸筋・呼吸補助筋の強化。

▶️胸郭モビライゼーション:肋骨の可動性を改善し、呼吸運動を円滑化。

▶️胸椎モビライゼーション:胸椎の柔軟性を高め、姿勢改善、スムーズな動きを確保。

▶️呼吸筋筋膜リリース:頸部周囲や肋骨の呼吸筋・呼吸補助筋の緊張緩和。

 

 

 

 

姿勢に対する呼吸療法は、呼吸機能の改善だけでなく

胸郭の可動性や筋緊張の緩和

猫背・反り腰の改善

胸郭可動域の拡大

など多面的な効果をもたらします。

呼吸には多くの重要な要素が隠されています。日々が忙しい人は、時々深呼吸をする習慣をつけ、胸郭の柔軟性を維持しておくようにしましょう。