TFCC損傷

手首の小指側に存在する靱帯が、何かしらの外力などによって損傷し、手首を動かしたり腕を捻ったりすることで、手首の小指側に痛みを感じる状態のことを言います。

TFCCとは?

TFCCは『三角線維軟骨複合体 Triangular Fibrocartilage Complex』とも呼びます。

手首の尺側(小指側)にある靱帯軟骨複合組織で、大きく分けて2つの機能があります。

  1. 手をついたり、小指側へ傾けたりした際の衝撃を受け止める軟骨としての機能
  2. 手のひらを下や上に向ける運動(回内・回外運動)の際に、前腕にある骨・関節(橈骨、尺骨=遠位橈尺関節)を安定化させる靱帯としての機能

TFCCが損傷すると、痛みとこれらの機能に障害が起きます。

三角繊維軟骨の部分が衝撃を吸収する軟骨の機能を果たし、尺骨小窩というくぼみに付着する三角靱帯が、橈骨・尺骨の安定性に重要な構造となっています(画像)。

発症原因

手首に衝撃捻りの力が加わって、TFCCの構造が傷つくことによって損傷します。
転倒や衝突、スポーツ中の怪我、交通事故などによって生じます。
損傷の背景に、加齢による変性や、生まれつき橈骨よりも尺骨の方が長いことによって、TFCCが傷つきやすい素因があって損傷することがあります。また、スポーツや仕事でのオーバーユース(使いすぎ)によって、1回の大きな外傷ではなく、繰り返しの外力によって損傷するようなこともあります。

症状

TFCC損傷部位によって異なりますが、共通の症状は尺側(小指側)の痛みです。
身体所見としては、軟骨成分の損傷の場合は手首を小指側に傾けたときに誘発される痛み、靱帯成分の損傷では遠位橈尺関節の不安定性が特徴的です。
画像診断では、MRIや関節造影・造影後CTなどが行われます。

TFCC損傷の施術

痛みの強い炎症時期は、手首または手首〜肘までを、固定します。

その後、痛みの緩和とともに固定は軽めのものに変更し、手首の筋力強化訓練を開始していきます。

早めの対処可能であれば、手術までは至りません。

また、TFCC損傷は治りにくく、長期的にかかる場合も少なくありません。手首の小指側に痛みを感じた際は、早めに専門施設への受診をオススメします。

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