ばね指(=腱鞘炎の悪化したもの)になるとどうなる?!

来院する患者様の中でも多くを占めているばね指。

・ばね指は良くなる良くならない

・ばね指になったらどんな影響が出るか

・ばね指は再発するかどうか

・ばね指に対する予防策改善策はあるか

など多くの疑問があるかと思います。

ばね指には外科的治療(注射や手術)もありますが、ここでは保存療法(リハビリ)での対応や自己管理の必要性について知っていただければと思い、外科的治療には触れません。

上記の疑問を上からQA方式で記述していこうと思います。

Q.ばね指は良くなる?良くならない?

A.ばね指になってしまった場合、初期症状であれば、適切な処置やリハビリ・自己管理ができればほぼ良くなるといえます。しかし、時間が経つとばね(弾発)症状が強く、痛みも強い場合は腱鞘と腱がすでに炎症により傷ついている可能性が高く、この場合は注射(ステロイド)または手術適応となってしまいます。

そのため、放置せず早めの受診が必要となってきますので、注意が必要です。

Q.ばね指になったらどんな影響が出る?

A.ばね指になると痛みとともに関節可動域制限が現れてきます。また起床時動作中指が一時的に曲がったままになってしまうこともあります。これをロッキングと言い、ロッキングが起きる前の状態腱鞘炎ロッキングが始まった状態ばね指(腱鞘炎の悪化したもの)です。症状が進行することにより、指が伸びなくなる(拘縮)を起こすことも考えられます。

日常生活に支障が出ることはもちろん、仕事や趣味などで痛みや指の動かしにくさを伴い、生活の質(QOL)の低下に繋がってきます。

Q.ばね指は再発する?

A.ばね指は再発しやすいです。一度症状が出ると、良くなっても同じ指や別の指(特に隣接指)に再発する可能性があります。

Q.ばね指に対する予防策・改善策は?

A.ばね指に対する予防策は

  • 指の曲げ伸ばしをバランスよく行う

指は曲げる筋肉(屈筋)が強く、伸ばす筋肉(伸筋)が弱い構造となってます。力を抜いた状態の指を見てみると、必ず全ての指が軽く曲がっているのがわかるかと思います。また日常生活での動作を見ても、掴む、握るなどの動作で必ず指の曲げる動作が生じます。そのため、指を曲げることはかなり多いですが、意識的に伸ばすということを行うことは殆どありません。

ばね指はもとより、腱鞘炎の状態から予防するためには、指を曲げる動作や長時間何かを握る動作を行った後は、必ず指全体を伸ばすストレッチを行います。日常的にこのことを意識するだけで、ばね指や腱鞘炎を予防することができます。

 

A.ばね指に対する改善策は

  • アイシング
  • 指のストレッチ
  • 指を伸ばしたまま安静保持
  • 日常生活での手の使い方の工夫

上記4点を確実に行うことができれば、保存治療(リハビリ)でばね指を改善することは可能です(重症度具合によりますが)。

指のストレッチは予防策でも記載したように、『曲げたら伸ばす』とバランスよく指を使えるように、指を使った後は必ずストレッチを欠かさないようにしましょう。ストレッチは1回に概ね10秒程度行うようにします。

アイシング痛み赤み熱感腫れ感などの炎症症状を感じた際、また指をよく使った後は必ず行ってください。温度によっては冷えるまで様々なので、保冷材などの特に冷たいものでは10秒程度を繰り返し、流水などでは1分程度を繰り返し行っていきます。

指を伸ばしたまま安静保持は、テーピング装具(スプリント)で曲がらないように物理的に固定します。指が曲がることにより、腱と腱鞘に繰り返し負担がかかり炎症を起こしてしまうためです。就寝中動作中などに曲がらないように固定します。固定しすぎは関節の動きが硬くなってしまうため、注意が必要です。

日常生活での手の使い方の工夫は、例えば細いものを握る際には、指の曲がりが軽くなるように太くしたり、指を曲げないでよい場面では無理に指を曲げないなど、生活上で常に手の使い方を工夫するだけで、指への負担が大幅に軽減していきます。

以上のことがばね指という症状に対することとなります。ばね指自体が起こらなくなれば、元通りの手の使い方に戻してもらっても問題はないですが、『曲げたら伸ばす』というバランスよく指を使うということは常に意識することが必要です。

身体は全てバランスの良い使い方が大切になってきます。

指以外でもバランスの良い使い方を意識して生活していきましょう。

ばね指でお困りの方は、当院までお気軽にご連絡ください。