部位別による注射の選択と痛みの種類

注射と聞くと怖いイメージがあるかと思います。

また、『どのような種類の注射』『どのような効果があるのかなど、詳しく知らずに注射されている方も多いのではないでしょうか。

診察時、医師に詳しく聞くということも、なかなかしにくいと思います。

今回は、注射の種類とそれによる痛みの種類についても解説していきます。

注射の選択は、痛みの原因・部位・症状の性質によって決まります。以下に、代表的な注射の種類と「どんな時に選ばれるか」の判断ポイントをまとめました。

 

🧠 神経ブロック注射

神経の過敏や痛みの伝達が原因(しびれなど)の場合

【星状神経節ブロック】

症状:顔面・頸部・腕の灼熱感やしびれ

効果:自律神経の調整で痛みと血流改善

【神経根ブロック】

症状:椎間板ヘルニア・坐骨神経痛・手根管症候群などの末梢神経症状

効果:腰痛・下肢・上肢のしびれななどの症状を直接抑える

【トリガーポイント注射】

症状:筋肉のこり・圧痛

効果:局所麻酔で筋緊張を緩和

 

 

🦴 関節内注射

関節の炎症や変形が原因の場合

【ヒアルロン酸注射】

症状:変形性膝関節症・股関節症・肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)など

疾患:関節液の補充で滑らかな動きにする

【ステロイド注射】

症状:急性炎症症状(腱鞘炎など)・変形性関節炎(母指CM関節症・ヘバーデン結節など)肩関節周囲炎・関節リウマチ

効果:炎症を速攻で強力に抑える

【PRP療法(自己血小板注射)】

症状:変形性関節症・スポーツ障害・腱炎(テニス肘など)

効果:組織修復を促進する再生医療系

 

 

💪 筋膜リリース・局所麻酔注射

筋膜性の痛みや慢性筋緊張が原因の場合

【筋膜リリース注射(ハイドロリリースなど)】

症状:首・肩こり・腰痛など

効果:筋膜の癒着を解放し、可動域改善を図る

【局所麻酔注射(サイレントマニュピレーションなど)】

症状:肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)などの一時的な痛み緩和や可動域の改善

効果:痛みの部位を特定する診断にも使う

 

 

🧬 その他の判断ポイント

  • 急性 or 慢性:急性疼痛にはステロイド慢性疼痛には神経ブロックヒアルロン酸注射が適応
  • 局所 or 広範囲:局所ならトリガーポイント広範囲なら硬膜外注射
  • 診断目的:神経根ブロックや局所麻酔は「どこが原因か」を探るためにも使われます

 

神経痛と関節痛はどちらも「痛み」を伴いますが、原因・症状・治療法がまったく異なります。

以下の原因・症状・疾患をご参考ください。

 

🧠 神経痛

末梢神経が圧迫・炎症・損傷されることで起こる

症状の特徴

  • ピリピリビリビリズキズキとした痛み
  • しびれ感覚異常を伴うことが多い
  • 安静時にも痛みが出る(動かなくても痛む)
  • 痛みが神経の走行に沿って広がる(例:坐骨神経痛なら臀部〜足先)

 

代表的な疾患

  • 手根管症候群などの手の末梢神経疾患
  • 坐骨神経痛
  • 肋間神経痛
  • 三叉神経痛
  • 腰部脊柱管狭窄症

 

 

🦴 関節痛

関節の炎症・変形・摩耗などによるもの

症状の特徴

  • 動かしたときに痛む(例:歩行時、階段昇降時)
  • 関節の腫れこわばりがある
  • 朝のこわばり(特に関節リウマチ)
  • 痛みは関節部位に限局する

 

代表的な疾患

  • 変形性関節炎(母指CM関節症・ヘバーデン/ブシャール結節、変形性股関節・膝関節症など)
  • 関節リウマチ
  • 肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)

 

🔍 見分けるポイント

【性質】ズキズキ・ジンジン・しびれ・鈍痛

【痛むタイミング】安静時または動作時

【痛みの範囲】神経の走行に沿って広がる・関節部位に限局

【伴う症状】感覚異常・筋力低下・関節の腫れ・変形

 

以上が部位別の注射の種類と痛みの種類についてです。

基本的に注射には、何かしらの副作用があるため個人的にはオススメはしません。しかし、痛みやしびれを早く治したい場合や、なかなか痛みやしびれが良くならないときなど、選択肢の一つとして考えてみても良いかと思います。

しかし複数回の注射は組織を悪くしてしまう原因にもなり得ます。

しびれや痛みを良くするための一番の選択肢はリハビリ

これでもなかなか改善に向かわない場合は、注射(1〜2回程度)とリハビリを併用して行くことも選択肢の一つです。

症状にお困りの方は、当院までお気軽にご連絡ください。