肩の機能解剖
肩関節は非常に複雑で、以下の主要な構造から成り立っています。
【骨】
肩甲骨:背骨を挟んで左右にある翼状の骨で、肩関節の動きに重要な役割を果たします。主な動きに肩甲上腕リズムとうい動きがあり、これは肩が動く際に上腕骨と肩甲骨がバランスの良い比率で動く機能を言います。
上腕骨: 肩から肘までの骨。主な動きに臼蓋上腕リズムという動きがあり、これは肩関節窩(肩関節の受け皿)に対し上腕骨頭のすべり・転がりがバランスの良い比率で動く機能を言います。
鎖骨:胸骨と肩甲骨をつなぐ骨です。鎖骨は肩関節の動きで上下への回旋動作をする役割があります。
【関節】
肩甲上腕関節:上腕骨と肩甲骨の間の関節で、肩の主要な動きを担います。
肩鎖関節: 鎖骨と肩甲骨の間の関節で、肩の位置を保つ役割を果たします。
胸鎖関節:鎖骨と胸骨の間の関節。
肩甲胸郭関節:肩甲骨と胸郭の間の機能的な関節。
第2肩関節(肩峰下関節):烏口肩峰アーチと上腕骨頭から構成される関節。
【筋肉】
僧帽筋: 肩甲骨の動きを助ける大きな筋肉。僧帽筋には上部線維、中部線維、下部線維があり、それぞれが肩甲骨の異なった動きに働きます。
三角筋:三角筋は前部線維、中部線維、後部繊維と3層構造となっており、肩関節を前後側面から守ります。またそれぞれの筋肉の働きにより異なった肩関節の動きをします。
棘上筋:肩の安定性を保つ筋肉の一つです。三角筋の中部線維と共同で働くという特性があります。
棘下筋:肩の外旋を助けます。
肩甲下筋:肩の内旋を助けます。
小円筋:肩の外旋を助けます。
下4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)は回旋筋腱板:ローテーターカフと言い、肩のインナーマッスルであり肩の安定性には必要不可欠の筋肉です。
肩関節はこれらの構造が協力して動き、非常に広範な運動範囲を可能にしています。肩の健康を保つためには、これらの筋肉や関節のバランスが重要です。
肩に起こり得る症状
肩の症状にはさまざまなものがあります。以下に代表的な肩の症状とその原因をいくつか紹介します。
肩こり
【原因】長時間のデスクワークや姿勢の悪さ、ストレスなどが原因で、肩周辺の筋肉が緊張して痛みやコリ感を感じます。悪化するとストレートネックの原因となり、偏頭痛や吐き気を引き起こします。
五十肩(四十肩)
【原因】肩関節周囲の炎症や癒着が原因で、肩の動きが制限され、痛みが生じます。特に40~50歳代に多く見られます。自然治癒が見込める疾患ですが、個々により改善度合いが異なり、数ヶ月〜数年痛みと制限が続く場合も少なくないです。
肩関節脱臼
【原因】外傷やスポーツによる衝撃で、肩関節が正常な位置から外れることがあります。脱臼後は再発しやすくなります。脱臼しやすく繰り返すことを、反復性肩関節脱臼と呼びます。また肩は前方に脱臼しやすいという特徴を持っております。
腱板断裂
【原因】肩の回旋筋腱板が断裂することで、肩の動きが制限され、痛みが生じます。特に高齢者やスポーツ選手に多く見られます。断裂しやすい部位は共同運動として重要な棘上筋腱の断裂が最も頻発します。
肩峰下インピンジメント症候群
【原因】肩を挙げた際に上腕骨頭と肩峰がぶつかることにより、肩関節の腱が関節に挟み込まれ痛みを生じます。治療が遅くなることで、腱断裂を引き起こすおそれがあります。
石灰沈着性腱板炎
【原因】腱板に石灰が沈着することで、急激な痛みが生じます。MRIでの画像診断では真っ白く映るので、判断が容易です。
胸郭出口症候群
【原因】肩や腕に通る神経や血管が圧迫されることで、肩や腕、手指に痛みやしびれが生じます。特に手指では薬指小指側にしびれを感じることが多いです。
反復性肩関節脱臼
【原因】一度脱臼した肩が再び脱臼しやすくなる状態です。特に若年層やスポーツ選手に多く見られます。
肩の痛みや不快感が続く場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
肩に痛みを感じる人の共通した特徴
肩が痛くなる人にはいくつかの共通した特徴があります。以下に代表的なものを挙げます。
姿勢の悪さ
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用などで、前かがみの姿勢が続くと肩に負担がかかりやすくなります。またストレートネックや腰痛の原因ともなります。
筋力低下
肩周りの筋肉が弱いと、肩関節を支える力が不足し、腱への負担が大きくなり痛みが生じやすくなります。
心的ストレス
精神的なストレスが肩の筋肉を緊張させ、痛みを引き起こすことがあります。
過度な使用
スポーツや重労働などで肩を酷使すると、腱や筋肉に負担がかかり、痛みが生じることがあります。年齢以上に筋肉が発達していても、自身の筋肉以上の動作を繰り返すことで痛みを生じやすくなります。
加齢
加齢に伴い、肩の関節や筋肉が劣化しやすくなり、痛みが発生しやすくなります。
これらの特徴を持つ人は、肩の痛みを予防するために、適度な運動やストレッチ、姿勢の改善、ストレス管理などを心がけると良いでしょう。
電気治療では治らないものもあります。
肩の疾患の第一選択はリハビリ(運動療法)が推奨されております。
肩に痛みや可動域制限がありお困りの方は、当院までご連絡ください。
お電話ありがとうございます、
肩肘手指専門リハビリ施術院/プライベートGIMでございます。