手指・肘の施術

整形外科でも主に、手や肘の怪我や病気を治療する診療科が、手外科です。骨、関節、脊椎脊髄、筋腱などの疾病や外傷を治療する整形外科、そして身体に生じた組織の異常や変形、欠損、あるいは整容的な不満足に対して、特殊な技術を駆使して機能と形態の両面を治療する形成外科があります。手外科は日本専門医機構が認定する基本診療科に分類されます。

手外科では、肘～手指までの骨折、脱臼、切創、挫滅創などの外傷、腱鞘炎、テニス肘などの腱の障害、へバーデン結節や母指CM関節症などの変形性関節症、手根管症候群などの末梢神経障害、先天性の障害や関節リウマチによる手指変形、などを治療します。

さらに、手術用ルーペや手術用顕微鏡を用いて微細な手術を行うマイクロサージャリーという技術を駆使して、切断指の再接着、上肢や下肢の骨や皮膚の再建なども担当します。

整形外科の中でも手外科専門医は約１割程度、手外科のリハビリに従事している作業療法士・理学療法士（ハンドセラピスト）も約１割程度しかいません。非常に難しく稀少な分野であるため、必ず専門医に診てもらいましょう。

ハンドセラピィ（Hand Therapy）とは、手に損傷や障害を受けた人が、再び「Useful Hand（実際に生活する手）」を獲得するために行われる専門的で包括的な治療です。

手の外傷治療から始まった手外科の発展に伴って、ハンドセラピィでは上肢の構造とその修復に関する知識、上肢の機能を向上させる技能がその中核として培われてきました。

ハンドセラピィの本質は、学術的な研究や技術、知識や技能を、対象者の生活や個別性に合わせて創造的に展開し、対象者の生活を再構築することです。

ハンドセラピィは手の外傷のみにとどまらず、手の先天異常、リウマチの手、内科疾患による神経障害などの治療へと広がり、現在では、脳機能に着目した治療戦略など多くの分野の手の障害を治療の対象としています。